水琴窟とは?
江戸時代に茶室の入り口や手水鉢(手を洗うための水を入れた鉢)の地下に、底に穴を空けた瓶(カメ)を逆さにして埋め込んだもの。
上から滴らせた水がカメの底の穴からカメの中に溜まった水面に落ちると、カメの中で音が反響して澄んだ心地よい音色を響かせる。
その音が琴の音色に似ていることと、その構造から「水琴窟」と名付けられたといわれている。
水を流すと綺麗な音が出るように作られた蹲(つくばい)です。
その心地良い音色は、まさに癒し系。
昔はたくさん作られたそうですが、山形県では現存しているものでまだ音色が出るのは数えるほどしかないそうです。
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1.蹲(つくばい)を据え付ける位置に大きな穴を掘り、コンクリートの井戸枠を地中に埋めます。
これは水琴窟の水の音色を良く反響させるためのものです。 -
2.井戸枠の底を、所定の高さまで砕石と砂で埋めてしっかり転圧します。
底に見える3つの石の上にカメを据え付けます。 -
3.昔は高さ1mほどもある巨大なカメを埋めていたそうですが、今回は水琴窟のために特別に作られたカメを使用しました。
愛知県の常滑焼です。
良い音色が出るように試行錯誤が繰り返された結果、この形、この大きさになったそうです。
施主様が、カメに弊社の会社名と施工者名を書いてくれました。お心遣い、感謝致します。 -
4.瓶(カメ)の底を上向きにして井戸枠の地盤に据え付け、割栗石というこぶし大の石でカメのまわりを埋めていきます。
この割栗石がポイント!。
割栗石とカメの当たる面積をなるべく小さくしつつ、割栗石どうしの当たる面積もなるべく小さくしながら並べていくことによって、音の反響の具合がぜんぜん違ってきます。 -
5.カメの底が少し見えるくらいまでなったら、カメの据え付けは完了。
この段階で、水を流して試聴しましたが、心地良い音色を響かせてくれました。
あとは、周りに蹲(つくばい)を据え付けます。 -
6.蹲(つくばい)を据え付けます。
ここは造園家の腕の見せ所。
手水鉢(ちょうずばち)は水琴窟のカメの後方に据え付けます。
今回の蹲周りは、表千家の作法にて据え付けました。 -
7.樹木や下草類をバランス良く植栽して、いよいよ完成!
手水鉢の前方下に見えるこぶし大の白い玉石(水掛石(みずかけいし)と呼びます)の真下に水琴窟のカメが埋まっています。 -
8.水掛石に、手水鉢から杓子ですくった水を落とすと、美しい音色が響きます。
まさに琴線を弾いたような心地よい音色です。一聴の価値アリです。
蹲と周りの和の雰囲気の美しさが、水琴窟の音色をさらに深みのあるものにしています。